プリファードネットワークスという会社の創業者兼経営者の二人が自分たちの会社について語った本。
プリファードネットワークス(PFN)という会社は日本国内のユニコーン企業である。スタートアップ企業の中ではダントツで価値が高いと目されている会社のようだ。求人の募集要項に、「コンピューターサイエンスのすべての分野に精通していること」と書いたことでも有名だ。
読んでいて気になった点を書き出していくと、まず、単純な受託はやらないというのが目に止まった。かといって本の中でも書いているようにPFNは何をやっているのか外からはよくわからない会社だ。製品を売り出して広告しているわけでもない。じゃあ何をやって売上を立てているのかというと、出資元企業を始めとする他社と共同で何かを開発する、といった仕事が多いようだ。そしておそらく成果物を納品するのではなくそれを自社の資産として保持するような契約の形態になっていると思われる。作ったものを他のソリューションにも使えるようにしてあるのだろう。パッケージ開発しかしないSIerというか、BtoBのサービスしか作らない(表にも出さない)Saasみたいなものかもしれない。
また、西川徹氏がスタートアップ起業家によくいる意識高い系ではなくほとんど技術者タイプの人であることも面白かった。ビジネス書は起業当初に読んでいただけで、本に影響を受けるのが嫌で読むのをやめたらしい。一方で技術書はたくさん読むそうだ。数多の意識高い系アントレプレナーが屍を築いているというのに全く違うタイプの人たちが国内で圧倒的ナンバーワンのポジションに居るというのが面白い。
読んでいて、クラスメソッドと近い雰囲気を感じた。あそこもおそらく、単なる受託開発はしないというスタンスなのではないだろうか。今後はこういった方針の会社が成功していくような気がする。